リコ(大人/子供)
ロルト(大人/子供)
ヴィンセント(大人/子供)
レオニーダ(大人/子供)

アリア

メイド1
メイド2

兵士1

研究員1
研究員2

暴漢1
暴漢2

ナレーター

リコの孫

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★全体的に淡白すぎる

始まっていきなり事件が起きて、犯人がわかって、命狙われて、
全然キャラクターに共感できない
もっと楽しいエピソードとか入れて!



【01.プロローグ】

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・

お願い、誰も呼ばないで。

これは違う。違うの。毒を盛られたんじゃない・・・・・・

私・・・・・・本当はッ・・・・・・!!」


昔々、ある国の西の端に、まるでお伽話に出てくるような純白のお城が建っていました。

庭園には、コバルトブルーに澄んだ小川が流れ、

色取り取りの薔薇のアーチと天使の彫像、そして小鳥達の歌声が、

お城を訪れる人々を歓迎していました。

お城の中に入ると、ビロードの絨毯の上に、

銀の細工を施したアンティークの家具がずらりと飾られ、

水晶のシャンデリアが眩い光を放っていました。

でも・・・・・・

まるで砂糖菓子のように美しいそのお城には、

口にするのも恐ろしい、”魔物”が棲んでいたのです。



その魔物は、ある日突然牙を剥きました。

お城の主である領主様のご一家が、次々に原因不明のご不幸に見舞われたのです。

一人目の犠牲者は、若く美しい領主様のご夫人。


SE:(オフで)ガラスの割れる音
メイド:「きゃあぁっ!お、奥様ぁ!!」
メイド:「奥様がバルコニーから下へ・・・・・・誰か、誰か来て!!」

それは、アフタヌーンティーの最中の出来事。

ご夫人は、塔のテラスから転落し、そのまま帰らぬ人になりました。

領主様は死に物狂いで犯人の捜索を続けましたが、

結局、原因は誰にも分かりませんでした。



二人目の犠牲者は、愛らしい領主様のご令嬢。

光を振りまくような笑顔で誰からも愛されたお嬢様は、

年を重ねるうちに病気がちになり、

やがては塔の一室に閉じこもってしまいました。

そうしてある日、領主様がお嬢様のお部屋を訪ねると、

SE:(オフで)ガラスの割れる音
メイド:「お、お嬢様?・・・・・・あぁ、血が。血が!」
兵士:「あの塔には、何者も近付いてはおりません!!」

お部屋は何故か空っぽで、

お嬢様のベッドには、鮮血に染まったシルクのネグリジェ。

そして、無残に散らばった栗色の髪の毛。

まるで抜け殻のようにベッドに横たわったそれは、お城に勤める誰もを震撼させました。

お姫様は、一体、何処へ行ってしまったのでしょうか?

領主様は半狂乱になってお嬢様の捜索を続けましたが、

結局、行方は誰にも分かりませんでした。



その様子を見て、領地の人々は言いました。

”あのお城には魔物が棲んでいるの。

その魔物はね、奥様を殺し、お嬢様の体を食らい、魂を奪ってしまったの。

だからね、あのお城には近付いちゃいけないよ”

くすくす、くすくす(フェードアウト)





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【02●●●●●】

ざっくりと物語や舞台の説明。
ハウスパーティーか何かをセッティングして、登場人物を紹介。
遊学中の兄が帰国したが、
なんだか様子が違う。
青薔薇を見つけるところで終了






「お母様、このお花は何て言うの?」

「これはね、薔薇。

私の好きな花だからって、お父様が贈ってくださったの」

「花言葉は”愛情”だったよね。義母様?」

「愛情・・・・・・じゃぁ、リコは・・・・・・えへへ、はい!」

「僕にくれるの?」

「リコは大きくなったらロルトのお嫁さんになるの。

だから、お約束のしるしよ。はい、とっても綺麗よ」

「リコの方が綺麗だよ」

「じゃぁ、私はレオニーダ様のお嫁さん、かな」

「ええっ?」

「まぁ。リコもヴィンセントも大胆ね」

「皆一緒にお城で暮らすの。

ロルトもレオ兄様もヴィンセントも、ずっと一緒よ」

(薔薇の持つ花言葉は、愛。

その愛が、どうしてあんな結果を招いてしまったの?)




「リコ?リコッ?!」

「あっ・・・・・・ご、ごめんなさい。ボーっとしてた」

「人に身支度を手伝わせておいて、居眠りなんて失礼ね。

さぁ、締めるわよ。背筋を伸ばして、大きく息を吸って?」

「も、もう無理よ。ヴィンセント」

「安心なさいな。今までに細い腰の演出で死んだ淑女はいないから」

「ちょっと、待って・・・・・・い、痛っ!!」

「まったく大袈裟ね。

レオニーダ様が・・・・・・あなたのお兄様が、遊学を終えて2年振りにお帰りになったのよ?

領主様も「立派な跡継ぎに成長した」とお喜びなのに、

あなただけだらしない身なりで恥をかきたいの?」

「それはそうだけど・・・・・・あっ、ああぁーーー!!」



★もう少しロルトとのやりとりを膨らませて。
話が淡白すぎる気がするから。


「ひでー声・・・・・・

城下町にでも漏れたら、とんだ醜聞ですね」

「ロ、ロルトッ・・・・・・い、い、いつからそこに?!」

「あんなに大声で叫ぶからよ。

はぁ、早くに亡くなった奥様が聞いたら情けなくて泣くわ」

「だって・・・・・・!!(もごもご)

・・・・・・それより、ロルトもヴィンセントも気付いた?」

「何にですか?」

「レオ兄様よ。様子が変だったでしょ?」

「顔付きが精悍になられましたね。旦那様に似て威厳も・・・・・・」

「そうじゃなくて。幼馴染のくせに分からないの?」

「分かりませんね。

旦那様のご好意で、10歳まで兄弟同然に育ったとは言え、俺はただの家臣ですからね」

「私も、特に何も感じなかったけれど。何かあったの?」

「実は、レオ兄様が帰国した時に・・・・・・」






★もう少しお兄様とのやりとりを膨らませて。
話が淡白すぎる気がするから。



「お帰りなさい、レオ兄様!」

<抱きつく>

「あぁ、リコか。元気そうで良かった」

「ふふ、レオ兄様も。

ねぇ、遊学はどうだったの?お土産話を聞きたいわ!」

「特に何もないよ」

「そう・・・・・・なの?

あ、そうだ!レオ兄様、久しぶりにお庭に出ない?」

「庭?」

「ええ。見てほしいの!

兄様の留守中は、私が庭中の薔薇の世話をしていたから」

「・・・・・・そうか。

じゃぁ、1つ注意して欲しいことがある」

「え?」





「知らない人みたいだったの。

冷たい口調で、全然笑ってくれなくて・・・・・・少し、怖かった」

「気のせいよ。きっと、長旅で疲れていたんでしょう?」

「そうですよ、お嬢様。

それより、朝食の準備が整ったんで呼びに来たんです。

早く行かないと、大好きなキドニーパイ食いっぱぐれますよ」

「わっ、すぐ行く!!」

<ガチャッ>

「ロルト?そっちはホールじゃないわよ?」

「俺はレオニーダ様を探してから行きます」

「あぁ、それなら私が呼びに行くわ!兄様は朝の散歩が日課なの」

(きっと気のせいよね。早く昔みたいにお話したいな)



SE:たったった(小走りの足音)

SE:サクッサク(草を踏み分ける音)


「レオ兄様ー?レオ兄様、どこにいるのー?

・・・・・・あれ、こんな所に温室なんてあった?あぁ、そう言えば・・・・・・」



(じゃぁ、1つ注意してほしいことがある。

庭の離れにある温室には、絶対に近付かないように。

庭師達にも、そう念を押してくれ)

(離れの温室?)

(遊学先から持ち帰った研究材料を栽培するために用意したんだが、

とても危険だから。いいね?)

(え、ええ・・・・・・?)




「あの時、お兄様が言っていた・・・・・・」

SE:キラッ(何かが光る音)

「何?今、温室から青い光が・・・・・・」

SE:ガチャ(扉を開ける音)

「・・・・・・あ、青い薔薇?!

初めて見た・・・・・・わぁ、綺麗な色・・・・・・それに、不思議な香り」

「誰かいるのか?!」

「えっ?」

「その薔薇に触るなッ!!」

SE;グイッ(腕をつかみ上げる音)

「・・・・・・っ・・・・・・レオ兄様・・・・・・?」

「リコ、何故ここに?!温室には入るなと言った!」

SE:腕をひねり上げる

「い、痛い・・・・・・お兄様、手を離して・・・・・・」

「す、すまない」

「私こそごめんなさい・・・・・・

あの、青い薔薇なんて珍しくて、とても綺麗だったから」

「あぁ。遊学先の・・・・・・グラドールの新種で、とても貴重なものなんだ。

外気に触れると簡単に枯れてしまう。父上には内緒だよ?」

「ど、どうして・・・・・・?」

「まだまだ改良が必要なんだ。驚かせたいからね」

「・・・・・・わ、分かったわ。

それよりレオ兄様、早く朝食にいきましょう?」(フェードアウト)

お兄様は何かを隠している。私は直感でそう感じた。

その時から、私は青い薔薇が恐ろしくなった。

今考えると、正気じゃいられない。

あの薔薇が、あんな恐ろしいものだったなんて。







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【03.発覚】

「お嬢様、別にあなたまで付いて来る必要はないんですよ?

旦那様から預かった荷物を届けるだけですから」

(ロルトってば本当に鈍いんだから。

昔みたいに一緒にいられないから、私がこうして・・・・・・)

「いいでしょう、別に。

王立研究所の所長は、ヴィンセントのお父様だもの。

たまには私もご挨拶しなくちゃ」

「暇な奴。

お嬢様はいいですね、いつもお気楽で」

「なっ・・・・・・!

・・・・・・とってつけた様な敬語が似合ってないわよ。

気味が悪いから止めてくださる?」

「はぁ?!お前と違って俺は仕事中なの!ケジメだ、ケジメ!」

二人「ふんっ」

「・・・・・・ふふ、やっぱりロルトはこうでなくっちゃ。

仕事だからって、急に余所余所しくなったら寂しいわ。

私達、幼馴染なのに」

「寂しい、ねぇ。

お前みたいなお転婆娘だって、いずれは嫁に行くだろう?

こんな事くらいでいちいち寂しがっててどうする」

「・・・・・・お嫁になんか、行かないもの」

(ロルトのお嫁になるって約束したもの))

「は?何だって?」

「ロルトの馬鹿、って言ったの!」

「何だよ、可愛くねぇな!」

「ふんだ、無神経な嘘つき男ー!!」

「いってぇ、爪を立てるな」

「痛いじゃない、馬鹿力!」

「お前が暴れるからだろ!」




<バックから、徐々にイン>

「なぁ、聞いたか?隣の国で蔓延している麻薬の話」

「隣ってグラドールのことか?何だよ、それ」

「噂なんだけど・・・・・・

珍しい薔薇の粉末が最近出回っててさ、

それが特別な薬品と調合すると依存性の高い毒薬になるらしい。

通称、トランス・ローズ。

一見普通の青い薔薇なんだけど、

一度でも口に含めばショックで意識が不明になることもあるそうだ」

「へぇ。見たことないな、青薔薇なんて」

「まぁな。グラドールでも取締りを強化してるし、国外に出ることはないだろうな」




「・・・・・・嘘、でしょ?」

「リコ、どうした?顔色が悪い」

「ロルト、どうしよう。

レオ兄様が、裏庭の温室で青い薔薇を育てていたの!

遊学先のグラドールから持ち帰ったって。

父様には内緒って言ってたわ。酷く驚いた様子で、もう来るなって。

・・・・・・あの青薔薇が、トランス・ローズの原料だったら・・・・・・」

「まさか。レオニーダ様に限ってそんな」

「・・・・・・そ、そうよね。

でも、お兄様が知らずに持って来てしまった可能性もあるわよね?

間違って加工したり、誰かに悪用されたら危険だわ」

「リコ!ロルト!」

SE:ビクッ

「どうしたの、こんな所で?」

「何だ、ヴィンセント・・・・・・あ、あのね、今っ・・・・・・」

SE:ツンツン

「しぃ・・・・・・リコ、今はまずい」

「どうしたの?二人して神妙な顔をして」

「・・・・・・何でもないわ」

「そう?

それで、今日はお揃いでどうしたの?デート?」

「ち、違うわよ!」「ち、違うって!」

「ふふ、冗談よ。

父に用事なんでしょう?

鉱物の実験棟にいるから呼んでくるわね。待っていて」

SE:足音

「ねぇ、どうして止めたの?

ヴィンセントなら何か情報を持っているかもしれないのに」

「・・・・・・勘、かな。

今は誰にも漏らさない方がいいと思ったんだ。

俺の方で少し調べてみるから、お前は普通にしてろ」

「ん・・・・・・」

「まったく、お前は隠し事には向かないな。

ほら、そんな顔するなよ」

「ふっ・・・・・・ちょ、髪がぐちゃぐちゃ!」

「あはは、いつもそうやって怒ってろ。

お前は、そっちの方が似合ってる」

「・・・・・・別に、言われなくても元気よっ」

SE:足音

「ヴィー」

「え?あっ・・・・・・」

「静かに。こっちへおいで」

「お会い、したかった。でも、どうしてここに?お忍びでいらしたの?」

「そう。君に頼みがあってね」

「私に・・・・・・?」






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「何だって?」

「気のせいなんかじゃないわ。

確かに、狙われているみたいなの・・・・・・」

「例えば?」

「日曜日の礼拝に出たくて、ヴィンセントと二人で街の教会へ行ったの。

そうしたら突然、私達の正面のステンドグラスが割れた。

破片が沢山降ってきて・・・・・・」

「怪我したのか?!」

「平気よ、司祭様がかばってくださったの」

「・・・・・・そうか」

「でも、他にも階段から突き飛ばされたり、上から物が降ってきたり、

嫌がらせにしては度が過ぎている気がする。

急にどうしたのかしら?」

「領主様にそれとなく尋ねてみるか。

領内で何か問題が起きているのかもしれないしな。

まぁ、とにかく、当分は護衛なしで出歩くな?」

「ええ。

今日はいつも通り、孤児院のお手伝いなの。

男手も欲しかったし、かえって良かったわ。よろしくね」

「よろしくねって、俺は子守なんか・・・・・・リコ、話は後だ。

後ろに下がれ」

「え?」

SE:びゅっ(弓矢の音)

SE:がきん(剣で払う音)

「きゃあっ・・・・・・」

SE:たたたっ(狼藉者集まる)

「感心しねぇな、お嬢さん。街中をウロウロしてちゃ危ないぜ?」

「・・・・・・っ、私を領主の娘と知っての狼藉ですか?!名乗りなさい!」

「んなもん忘れた、なぁ!!」

SE:がきんっ

「・・・・・・くっ・・・・・・!」

SE:びゅっ 

SE:がきん

「ぐあっ」

「ロルト!お願い、殺さないで!!」

「危ない、下がってろ!!」

「駄目、剣を下ろして!」

SE:がきん

「ちっ・・・・・・仕損じたか、一旦退けー!!」

SE:たたたっ(走り去る音)

「・・・・・・何で止めた?」

「そんなことより傷を見せて。止血するから」

「いい、掠り傷だ。

あのな、今の奴らは明らかにお前を狙ってた。

今仕留めないとまた狙撃してくるぞ?!」

「だけど、ロルトに人殺しになって欲しくなかったんだもの」

(本当は怖い。

鋭利な刃の色が、音が、忘れられない・・・・・・!)

「はぁ・・・・・・まったく。強いんだか、弱いんだか」

「え?」

「震えてるぞ、手が。

・・・・・・大丈夫だ、お前には俺が付いてる。な?」




ロルトの言葉は正しかった。

それからの私は、頻繁に命を狙われるようになった。

何度も、何度も、助けられて・・・・・・




SE:風

「おい、風邪をひくぞ?」

「・・・・・・」

「お前、最近この塔で寝泊りしているらしいな?

食事だけ運ばせて、皆を遠ざけてるって聞いたけど、どうした?」

「ううん、別に」

「話したくないならいい。

でも、そんな薄着じゃ風邪を引くぞ?」

「お母様はね、ここから落ちて死んだの」

「何を今更」

「こうして、思い切り身を乗り出さなければ落ちないわ。

だったらどうして?

簡単よ。誰かに、故意に突き落とされたのよ」

「リコ・・・・・・」

「それが分かっているなら、一人でこんな所にいるな。危ない」

「お母様は命を狙われていたの。

どんな気持ちだったのかしら?

・・・・・・私はすごく怖いわ。

だから、ね。もう待っているのは嫌なの。戦わなきゃ」

「は?」

「こうして一人で待っていたら、犯人はそのうちきっと襲ってくる。

この塔なら誰かが巻き添えになる心配もないし、

お城と違って敵の逃げ場もない。きっと、捕まえるわ」

「・・・・・・無茶ばっかりだな、お前。

剣は?弓は?武術は?使えるのか」

「うっ・・・・・・使えない、けど・・・・・・」

SE:ぎゅ

「最初は、お父様が原因だと思っていたの。

でも・・・・・・違うわ、きっと。

私があの青い薔薇の秘密に気付いたからよ!

あの薔薇を領内に広めるために、私が邪魔になったから!

だから・・・・・・」

「しぃ、感情的になるな。誰が聞いているか分からない」

SE:ぎゅっ

「お兄様を捕まえたいの。

お父様やお城の皆に知られる前に、説得して、改心させたい。

だから、私は一人で・・・・・・ここでチャンスを待つわ」

「・・・・・・領主様に話そう。手遅れになる前に」

「え?!」

「お前一人で戦う必要なんてない。

領主様なら、お前よりも上手く、レオニーダ様の秘密を暴いてくださる。

そして、止めてくれるはずだ」

「で、でも、お兄様は跡継ぎなのよ。

そんなことを知ったら、お父様はきっと悲しむわ。

お願い・・・・・・一度、レオ兄様と話がしたい」

「・・・・・・分かった」

「一緒に、いてくれる・・・・・・?」

「嫌がったっているさ。

不本意だけど、守ってやるって約束したからな」

「・・・・・・ロルトの腕、安心する。

いつも、いつもありが・・・・・・んんっ?!ゲホッゲホッ!!」

「大丈夫か?」

「ふっ・・・・・・う・・・・・・っ、平気。ただの風邪だわ」

「リコ・・・・・・?リコッ!」

「え?・・・・・・っ・・・・・・」(血を見て息を呑む)






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【04.発病】





「どう言うことだ?」

「大丈夫よ、ただの風邪だから・・・・・・」

「その様子じゃ、昨日今日発病した訳じゃないな。

いつからだ?

・・・・・・っ、おい、まさか毒でも盛られたんじゃないだろうな?!」

「違う。違うわ。これは・・・・・・」

「じゃぁなんだ?」

「・・・・・・流行り病よ。

赤く膿んだ斑点が、胸から首に徐々に上がってきた。それが証拠だわ」

「う、嘘だろ・・・・・・」

「あは。こんなに早く、進行するとは思わなかったな・・・・・・

血を吐いたら最期なんですって。もう助からないわ」

「な、何で黙ってた?!

症状が軽いうちに医者に見せれば・・・・・・!」

「最初は熱や頭痛だけで、風邪だと思ってたの。

それに・・・・・・こんな姿、誰にも見られたくなかったわ」

(お兄様を誘い出して、こっそり片付けようとしたことに、嘘はなかった。

成功すれば、お兄様は跡継ぎとして今後も普通に暮らしていける。

でも、何よりも、お城にいたくなかった。

お父様に、侍女たちに、そしてロルトに、見られたくなかった。

万が一移してしまうのも怖かった。

綺麗なままで、いたかった)

「・・・・・・私はもうじき死んでしまうわ。

だから、お願いよ。私を外へ連れて行って!!」

(お城に閉じこもって死を待つのは嫌。暗殺なんてもっと嫌。

今なら、きっとまだ間に合うから・・・・・・)

「北の国では、氷の花が咲くの。

子供の頃、童話で読んだでしょう?

私ね、ずっと見たかったの。連れて行って、くれる?」

「っ・・・・・・・・・・・・」

「連れて、行って」

(お兄様、止められなくてごめんなさい)

「・・・・・・お前が、それを望むなら・・・・・・」

「本当?嬉しいっ・・・・・・」

「そう言えば・・・・・・昔、お前から薔薇の花をもらったな。

子供心に、嬉しかったのを覚えてるよ。

今度は俺が、お前に花を贈る番だ。

準備をして、明日の夜、城を出よう。いいか?

それまでは休んでいろ。しばらくは暖かいベッドでは眠れなくなる」

「分かったわ。待ってる。ずっと、待ってるから」

SE:バタン

(血を吐いたのは初めて。でも、時間がない。明日・・・・・・)

SE:トントン

「どなた?」

「入るよ、リコ」

SE:ガチャ

「レオ兄様・・・・・・ヴィンセントも、突然どうしたの?」

「大事な妹を見舞ってはいけないか?」

「いいえ、ありがとう」

「具合はどうだ?この塔じゃ、看護も行き届かないだろうに」

「風邪なの。長引いているけど、平気よ。

眺めが良くて落ち着くわ。

・・・・・・ヴィンセント?顔色が良くないわ。どうしたの?」

「・・・・・・私・・・・・・」

「リコ。それより、プレゼントがあるんだよ」

「わぁ、赤い薔薇!お母様が育てていた薔薇ね?」

「そうだよ。

義母さんは、血の繋がらない私にもよくしてくれた。

父さんが贈り、義母さんが大事に育てた花なら、

私にとっても同じように大事だ」

「・・・・・・だから、青い薔薇も育てているの?」

「ッ!」

「リコッ、違うの!近いうちにあの青い薔薇は・・・・・・!」

「ヴィンセント」

「・・・・・・っ・・・・・・」

「ここは病室だよ?」

「ヴィンセントを叱らないで?

レオ兄様・・・・・・

もしも私がいなくなっても、私はずっと兄様が大好きよ。

何処にいても、兄様を想ってるわ。信じてね」

(たとえ、兄様が私のことを疎ましく思っていようと、私は・・・・・・)






<SM:夜の街>

【ガヤ】-----------------------------------------

夜の街っぽいもの。
(酔っ払いとか、それに絡まれてるおねーさんとか)
火事のザワメキも、多少あると良。

-------------------------------------------------


「さて、と。食料はこんなもんか」

(それにしても、胸騒ぎがする。)

<SE:足音>

C1「おい、聞いたか?火事だと!!」

C2「らしいな。見に行こうぜ!」

<SE:足音>

「お・・・・・・おいッ、火が出たのは何処だ?!」

C2「な、何だよ!あんた、突然」

C1「塔だ!!領主様の城の、一番高い・・・・・・」

「人は住んでないらしいが、」

「ッ・・・・・・!!」

<SE:足音>





<SE:火の粉(パチパチ)>

<SM:怖そうな曲>

「・・・・・・ヴィンセント、ヴィンセント、起きて!」

「うっ、痛・・・・・・私、どうなったの?」

「殴られて意識をなくしたの、突然。

起きたら、嫌な匂いがして。それに・・・・・・この音は?!」

<SE:扉開ける、足音>

「な、何、これ!」

「う、嘘でしょう?!レオニーダ様、どうして・・・・・・」

「レオ兄様?」

「い、いいえ・・・・・・それより、早く外に出なくちゃ!!」

「そっちは駄目、階段が燃えてる。もう、すぐそこまで火が!!」

「ま、窓っ・・・・・・窓は?!」

「だってここは塔の上の方の階よ、飛び降りるなんてっ・・・・・・」

「でも・・・・・・ごほっ・・・・・・ごほっ・・・・・・誰か、助けて!!」




「2人とも無事か?!」【音量は小さく】

「ロルト?!平気、でも炎がっ・・・・・・」

「2人とも下がれ、頭を抱えて後ろへ!!」


<SE:石か何かを投げる(ヒュッ)>

<SE:窓が割れる>


「よし、早く飛び降りるんだ!!」

「む、無理よ!!」

「ぐずぐずしてる時間はないんだ、飛べ!!支えてやる!」

「・・・・・・ヴィンセント、先に行って!!早く!」

「行けないわ。あなたが先よ!

いいから、どうせ私は・・・・・・もう、長くないもの・・・・・・」

「え?」



<SE:ドサッ(飛び降りる)>

「んっ」

「よし! ヴィンセント、離れてろ!!次はお前の番だ!」

「うん!!待って、今、降りる・・・・・・」

<SE:柱が崩れ落ちる感じ(バキバキ)→それっぽい効果音は探しました>

「(え・・・・・・何の、音?)」

「柱が、落ちるっ・・・・・・きゃああぁ・・・・・・!!」

<SE:柱が崩れ落ちる感じ(激しく)>

「リコーーーー・・・ッ!!」






「その様子を見て、人々は言いました。

”そのお城には魔物が棲んでいるの。

それは、打算のために人を殺す、恐ろしい魔物”」








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【05.ハッピーエンド】





街でガヤ

「西の国の、あの呪いの城の取り壊しが始まったそうだよ」

「怖いね。見つからなかったご令嬢の遺体が、火事の現場から出たりして」

「いや、それがまだ見つからないらしいよ」

「それにしても、本当に呪われてたな。あの城。

奥方と令嬢の次は、跡継ぎの若君が流行り病で亡くなって。

領主様とやらの心痛察するぜ」



「おばぁちゃま。

とっても怖い噂話のお城のことよね、おばぁちゃまは知ってる?」

「えぇ、もちろん」

「お嬢様、かわいそう。

病気で、その上魔物に・・・・・・」

「ふふっ・・・・・・でも、そのお話には続きがあるのよ」

「え?」








「柱が、落ちるっ・・・・・・きゃああぁ・・・・・・!!」

<SE:柱が崩れ落ちる感じ(激しく)>

「リコーーーー・・・ッ!!」


<SE:ポワン>


「何、これ・・・・・・」

「・・・・・・光・・・・・・?そんなことより、無事か?!」

「あ、足を火傷しただけ・・・・・・ロルト・・・・・・ねぇ、これ!!光が私を・・・守って、る?!」

<SE:ポワン>

「い・・・・・・いいから早く飛べ! 崩れるぞ!!」

SE:ガラガラガラ




あの光は、お母様だったのかもしれない。

誰も信じてくれないけれど、

私達は火から逃れて、

ヴィンセントが王立研究所の地下洞窟を案内してくれた。(真昼の効果音が全部使えるよ!洞窟とか)

「鉱物の研究をするんで、国境のあたりまでは掘り進めているの。

王立研究所所長の娘だもの。秘密よ。

ここを行けば、国境の町まで逃げられるわ。

リコ、あのね・・・・・・レオニーダ様のことを少し話させて。

レオニーダ様って、昔から少し抜けていて、一本道で迷子になったり、

ボタンをかけるのが下手だったでしょう?」

「え?」

「だから、ね・・・・・・今度も少し、間違ってしまったの」




<回想>

(グリード・コルヴェルト・・・・・・父さんは、私を疎んでいた。

私が正妻・アリアの子ではなく、妾の子だから。

男系相続にこだわる父さんは、

仕方なく跡継ぎとして私を認めれくれたが・・・・・・

追い出されるように寄宿学校に入れられて、

卒業と同時に、今度は遊学を薦められた。

城から引き離そうとしていたんだ。

私の居場所なんて、なかった。

幸せそうな正妻が憎くなり、塔から突き落とした。

いつか、父上も殺してやりたいと思っていた。

正妻との愛を象った、薔薇を使って・・・・・・

父上が治める領地を混乱に陥れ、復讐してやりたかった)





「嘘よ、お母様もお父様も、レオ兄様を想っていたわ!

お父様は幼い頃から領地に縛られた人生を送ってきたから、

息子には広い世界を見せてあげたいって。

お母様も、レオ兄様の本当の母でありたいと、いつも・・・・・・」

「私もそう思うわ。

でも、レオニーダ様の心の傷は深かったのね。止められなかった。

リコを殺すための画策を一緒にして、作戦に加担して・・・・・・

ステンドグラスも、街で二人を襲わせたのも私。

でも、結果は見ての通りよ。

寸前で仏心が働いて、あなたに本当のことを言ってしまいそうになったら、

あっさり捨てられて。馬鹿ね。

・・・・・・リコ、私のしたことを許してくれとは言わないわ。

レオニーダ様の酷すぎる要求を受け入れたのは、私自身なんだもの。

でもね、私、あなたのことを本当に・・・・・・」

「友達だと、思ってるわ。ヴィンセント」

「リコ・・・・・・

レオニーダ様はきっと止めるわ。領地を、薬漬けになんて出来ない。」


無事に国境の外へ脱出。

国境の外で、身分違いを隠して結婚。

子供を生んで、幸せに。



零下で、病は侵攻を止めた。

温暖で砂っぽい西の国を出て、寒く空気の澄んだ国へ着たから




「どんなお伽話も、ハッピーエンドになるの」



























季沙




志筑は普通の高校生。

中学から同じクラスの三郷祐一郎に片想いをしていた。

しかし、三郷は里愛の親友である深澤結衣と付き合い始めたことが発覚し、●●は何かと気力を失っていた。

二人の初デートのお土産を貰いどんぞこに。

そんなこんなで寝不足が続いていたところ、授業中に昼寝。

昼寝の罰として、課題を言い渡され、資料室で本を探していた。

すると●●は本の中に引きずり込まれてしまった。

――居眠りの代償は高くついた。何なの、これ。マンガじゃあるまいし、やめてよ。



目覚めた時、●●は鬱蒼と生い茂る深い森にいた。








★クライスト信教の息衝く国

クライストとは

宇宙を作った女神様の息子で、この星を作った創造主。

母親をエスコートする神の像があちこちに飾られている。

彼を祭るのが教会

教会を司る一族は、位階こそないが王族と同等に扱われる。









春宮

ーー卿の宮

女一の宮






★隣接する不仲な二国

王様は友好の印として、姪っ子を嫁がせようとする。






シア・フローレス(家庭教師・黒幕)

司教の娘

「私が隣国に嫁ぐだなんて・・・・・・いけません、皇子様にはもっと相応しいお相手がおりますわ。
それに私は、クライスト神に身を捧げておりますもの」

「お父様は、国王様からのご命令を断れずにお話を進めてしまったの。
国王様には女のお子様がいらっしゃらないから。
でも、あの国は一夫多妻制を認めているの。
皇子様にはこれから先、大勢の女性が嫁ぐのでしょうね。私には耐えられないわ」とリースにもらす。





セフィード・オーウェン(シアの共犯者)



ロルト・シルフォニア(隣国(一夫多妻制)の皇子)



リース(第2位の位を持つ貴族の息子。父は王の弟。王の甥っ子。家庭教師のシアに惚れている)



ミルフィーユ・グランドール(レオの妹、12歳。




ユーシィ・コルヴェルト(











セフィードは薔薇を育てている。

毒になる薔薇。










何でも願いが叶う本を手にしたシアが、自分に瓜二つの●●を呼び寄せる。

・自分が影で動く間、怪しまれないように誰かを置いておく必要があった。

・父である司教が大嫌いで復讐したいと思っていた。

すました司教は、実は妻への暴力を繰り返していた。
シアが12歳の頃に妻が死んだ時、にやりと笑った。
母を殺した父に復讐したいと、17歳になるまでずっと考えてきた。
=父がへつらっている国王に恥をかかせて、父を処罰するようにさせればいい。
=自分の保身を図りつつ、国王の嫌がることをしよう。

司教の側近である助祭のセフィードに相談。
12歳の頃から綿密な計画を練っていた。



計画を実行しつつ、
「王様の姪っ子が家庭教師を探しているらしい。
お前は昔からあの兄弟と親しかっただろう?どうだ、適任だろう?」
親孝行な娘を演じながら、幼馴染の公爵宅の家庭教師としてすごす。



にもかかわらず、計画は突然崩れる事態に。

国王が、突然、シアを隣国の皇子に嫁がせようとしたから。
復讐計画が完成するまで、嫁ぐわけには行かない。



頭を抱えていた時、願いが叶う不思議な本に出会う。

そこで、身代わりを用意することを決意。
最後は口封じに殺してしまえば、自分は大嫌いな教会から逃げ出せる。
新しい人生を送れる。



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ロルトと話して、心で結ばれて、帰還。



「えっ・・・・・・な、なんでこの本が私の手元にあるの?!」

私は、目どころか体中の臓器が全部飛び出しそうなほどぎょっとした。

二度と見たくないとさえ思っていた燕尾色のそれを枕にして、気持ちよく寝ていた自分の図太い神経に、心底呆れてしまう。

私はそれを一旦床に置いて、大きく息を吸い込んだ。

願いが叶う本・・・・・・

ううん、違うわ。そんないいものじゃない。

誰かの無茶な願いを一方的に叶えて、他人に迷惑をかける本。

捨てよう。それがいい。

――びゅうっ

半分ほど開いていた雨斑が出来た窓から、突然強風が吹き込んだ。

「んっ・・・・・・」

長い髪が風に煽られて顔に張り付いた。

「何なのよぉ」

髪をさっさと元の位置に戻し、俯くとそこには

”気分がいいから、もう一つどうぞ?”

真っ白だったページに、突然文字が浮き出てきた。

「ええ?!」

指でこすってみると、書かれてすぐにもかかわらずインクは擦れない。

どうなっているの?

私にも欲がない訳じゃない。

出来るなら、ロルトと一緒にいたかった。

ごくん。

大きく唾を飲み込んだ。

その瞬間、

「●●、また寝てたの?!」

親友の結衣が息を切らして駆け込んできた。

「課題の提出!もう17時過ぎてるよ?」

「え?」

「あーあ・・・・・・知らないよ、罰課題までさぼって。仕方ない。私も一緒に謝ってあげるよ」

「罰、課題」

「ぼけっとしないで。スカート、しわくちゃだよ。ほら!」

ガラガラ

「結衣、●●、先生が怒ってるぞ」

「祐一郎聞いてよ、●●ったらまた寝てたんだよ」

「相変わらずだな。ほら、謝りに行こう」

「・・・・・・」

ここは相変わらず退屈が溢れる世界で。

二人が付き合っていることは変わらない。

何も、変わらないのに・・・・・・

私だけが、変わった。

うん、そうだ。私は、ここで生きていく。

「祐一郎、憂さ晴らしに寄り道して帰ろうよ。あ、私、クレープ食べたいな」

「え?何?祐一郎が奢ってくれるって?やったね、結衣!」

「おい、お前ら!!」

私は二人に見えないように、そっと本を閉じた。

「こらー、おいてくよー!」

もう二度と外れないように鍵を押し込んで、資料室の本棚に本を戻した。

「待って待って!」



ロルト、約束したとおり、私は今日も元気だよ!!